古布 木綿 庄内 刺し子 Japanese Antique Textile Shounai Sashiko
2016年 05月 22日
先日の「異端の構図」と比べると 刺し子の密度は明らかに違います。
伝統的な紋様を基礎として 実用性に富み その風貌には威厳を持ち 現場に立つものにいかにも好まれた形態が有ります。
実用性を再考すると 刺し子は、衝撃に強い破れにくい 紋様で身分の証明になることが重要でした。
そして、刺し子の縫い技が達者な方には「祝儀物」の構図を表す仕事の需要がありました。
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江戸期の着衣を鑑みると、刺し子文様と結びつく接点など殆どないようですが。
「地無し」の発想が有るとき、実用本位の地無し刺しなのか、本邦の着衣装飾構図のDNAの根底に流れる「地無し」なのか 刺し子の表現のみがゆるされた者には、考えも及ばぬことでしょう。
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いずれにしても隅々まで隙間ない仕上がりが皆様に求められたようです。(職人技として非常に優れたアイテム-弘前刺し子-の存在を後日ご紹介いたします)
そう考えると、先日の「異端の刺し子」は裕福な商人さんがお抱え縫い子に思い付きを具現化させたのか、あるいは余裕のあるお家の手先が器用なお嬢さんの気まぐれか。 いずれにしても、繍技に実績ある人による「異端の構図」は、構想や「根気」を含めて繍技に自信がある者によるアイテムで、かなりの希少刺し子です。
江戸期末もしくは、明治のある時期まで「地無し」構図を最良と考える思想は、あったようです。
ではまた