古布 木綿 紙縒り織 野良着1 Japanese Antiqeu Textile Koyori-paper Noragi
2018年 07月 15日
「細かく緻密に刺し子」が古い時代を表します。
庄内地方の紙縒り織 デンチ型野良着です。
経糸に大麻糸を使い、緯糸に紙縒り糸と藍染された紙縒り糸です。
たまに藍染めされた木綿糸が緯糸に見つけられます。
前日の紙縒り織野良着より手触りが少し硬く分厚い感じです。
細部を見ると前日のアイテムより時代的にも古い感じです。
形が馬のり型でスリットが裾にあります。川北地区 酒田市とその周辺で使用されたアイテムと思います。裾横脇布部分の刺し子に遊佐刺し子にはないかもしれませんが、緻密に一つの方向に差し込まれた刺し子に遊佐刺し子周辺の「階段刺し子」らしき香りを覚えます。
拡大画像を見ると藍染された紙縒り糸と藍染された木綿糸の違いが判ります。このアイテムの場合、藍染された木綿糸は、やはり何本もの木綿繊維を束ねて撚りをかけたことがたやすく判ります。
藍染された紙縒り糸は、木綿撚糸にある筋が見えません。
紙縒り糸の藍染されたアイテムとそうでないものを比べると拡大画像を見た時に藍染されてないものの方が僅かですが 表面のダメージが少ないようです。
この違いが当時の人々の使い勝手にどのような具体的影響をもたらしたかわかりません。
しかし、江戸期頃のデンチ型アイテムの遺されたアイテムの数を比べた時 紙縒り糸と麻のアイテム、 木綿裂き布糸と紙縒り糸が混ぜられて段替わりにおられたアイテム、そして木綿布刺し子のアイテムの順番で 遺された数は、木綿布刺し子アイテムが圧倒的に多くなります。
野良着として藍染めのない紙縒りアイテムは、当時の庶民作業者の使いようにあまり適していなかったようです。紙縒り自体が「お大事なもの」で古手木綿の方が入手しやすければ、残存数の違いはうなずけます。
後にご紹介いたしますが紙縒りと木綿糸が使用されてたっぷりと藍浸け染されて衽を持った仕事着は、相当数が遺されていました。
アイテムの残存数が、当時の人々の民間染織に対する色んな思いを語ってくれます。
ではまた