古布 木綿 紙 cotton paper Japanese Antique Textile
2014年 10月 22日
三番目の画像は、 明治頃の岩手県の藍染麻夜着です。
紙子の夜着は、九州 八代あたりのアイテムです。麻の夜着は、岩手県下のアイテムです、 生産地も使用地もかなり隔たりが有ります。
それでも明治時代、いずこもお好みは同じようで 似通ったモチーフを取り上げたようです。
拡大で表面を見ると藍色の染料は、味のある時代絵の具のようです。
もまれた紙に擦り込まれた藍の染料は、染められた布とまったく異なった表情をみせます。
手漉き和紙の「表情」がよく出ています。 基本的に材料は、どちらも自然の植物繊維ですが、
植物繊維をルーツとして それぞれの地域の工夫が 漉き込みと織り込みの「表情」を生み出しました。
東北地方では 幾つかの地域でさまざまな工夫による「表情]の遺された 植物染織遺産があります。
それは、全てがメジャーなアイテムでなく、その土地で生活に必要なだけが製作されました。
他地域への移出品ではありませんでした。
その時代、そのタイミングでしか存在しえなかったアイテムがありました。
希少な「オンリーワン」アイテムは、 東北地方のいくつかの地域で、人々の創意工夫によって生み出されました。生活に役立つそれらは、彼らにとって大変貴重なアイテムでした。 与えられた素材を余すことなく使いきりました。
しかし、時は移り その存在の希少性は気づかれることがなく、 次の世代の人々に受けつがれることは稀でした。
さらに人々が価値に気付いたアイテムは、一瞬にして散逸してしまいました。
物心両面で豊な土地に 運よくひっそりと遺されたケースは、「質素倹約」の精神と共にありました。
動乱の江戸末から激動の昭和初期の日本, 東北地方の希少染織事情など 随時 ご紹介いたしましょう。
ではまた