古布 木綿 絹地 琴かけ Japanese Antique Textile Kotokake
2015年 04月 02日
赤地から飛び出るチャコールグレー、赤地・グレー地の接触は観るものに瞬間の強い印象を生み出します。
それは、継続を好むものでは有りません。
赤は、もとより衝撃的な色で接触色を躍動させるのでしょうが、この組み合わせは
ご覧のとうりの結果を生み出しいます。
赤地に家紋のみの琴かけは、よく見られるものですが 製作者の創造は、「よくある赤」の印象を
色の組み合わせで大きく変えています。
赤と白の組み合わせは、なじみ深い組み合わせですが、見慣れた組み合わせの中にも 今回
多くの意図は、見えてきます。
羽毛のふくらみや鳥類の空気袋の丸みが 接触した赤によって強調され 手に感じたような柔らかな感触を 創造させます。
製作者は、もとより「チラ見」の一瞬にこれを観る者をひきつけ 立ち去った後、観たヒトの心に柔らかな
「印象的手触り」を覚えさせます。
優しい丸みをしっかりと感じさせる決め手は、赤と白の間にある「いい感じ」のグレーラインでしょう。
赤地に墨と相良刺繍の印象的な表現例です。
右手で描かれているので鶴のふくらみのカーブは、左サイドが筆を外側に逃がし気味に普通に美しく描かれています、右サイドのふくらみのカーブは、筆を引き気味にしたため 鶴の胴部全体が正確なシメトリーではありませんが
手慣れた筆を走らせたラインは、すこし芸術的と捉えてもよろしいかと思います。
当時どのようにプロデュースされたのか存じませんが、筆描き人と刺繍職人の「とがった」感性のせめぎあいが最も主題たる顔面付近からこちらに迫ってきます。
嘴の付け根の立体感とほど良い硬質感、生きてる「目のにらみ」に職人の気概をみます。
通常多くの製作をこなしている職人さんたちも 時には、一歩も引けぬ感性のぶつかり合いを作品上で楽しんでいるようです。
ではまた
毎日たんたんと通常業務をこなす職人さんも時には底力を見せつけることが有ります。