古布 木綿 野良着 梶 野良着 Japanese Antique Textile Kaji Noragi
2015年 04月 30日
襟と梶布本体は、同じ時代ではありません。
襟・裾回しの藍染木綿布は、後付け布です。
先につけられていた襟布他は、傷んだ為 新しい物がつけられました。
梶布本体に僅かな傷みが数か所見られます。かなり強靭なこの繊維から作られた野良着は、布として外部からの衝撃には、麻、木綿布よりしっかりと耐えられたでしょう。
しかしながら、この強靭さは、ヒトの皮膚との接触にはあまり適していなったようです。
首筋など強く接触するところは、かなりの痛みが伴う為 野良着として着用することは、厳しかったようです。 おかげでこのタイプのアイテムの野良着は、この一点を見ただけです。
無地科布織のらぎと酷似していますが、細見するとあちこちにかなりの相違が有ります。
何度も使用し何度も洗い いい感じの肌触りになる麻など最初に硬質感のある野良着は、いずれ柔らかさが出てくることが予測できたのでしょう。このアイテムには、それがみえませんでした。
当時の人々は、経験と伝承から野良着には無駄がないことを目指しています。労働そのものも一切無駄なく自然体に、野良着は、先人の体験を無駄なく生かし切ったアイテムです。
少しでも具合の悪いものは、よほど手軽に入手できても 「お蔵入り」です。それが何もかも ぎりぎりの時代を生きた証です。それが、無駄など全くない自然体の暮らしでしょう。全てを自然から頂いて自然へお返しします。
この繊維も詳細に見て 先を予測すれば 細かいちくちくするような硬い毛羽立ちは、着用よりも
細かく砕いて 強靭な繊維を上手く集めた「和紙」となって当然の事だったでしょう。
(この過程を経て和紙から再び布となったのが 紙縒り布であり紙布です。)
着衣に少しでも 洒落を求めた結果 藍染め糸と生なり糸を交互に経糸緯糸に使い 市松柄を出しています。
欲を言えば 縦横絣のように藍色と生なり色を明確に表せば 現代好みの 良きメリハリが現れ、Folkyな「絣足」なんかが出れば「大変いい感じ」の色合いができるかもしれません。
ではまた