古布 木綿 筒描 Japanese Antiqeu Textile Tsutsugaki
2017年 05月 23日
まずは、家紋に岩、竹と筍です。









もう一点は、ボタンに獅子です。









この2点の江戸筒描きは、何処か地方の江戸期筒描と思います。
江戸期ものは、何処も創作熱意が込められたアイテムが多いです。
この江戸期筒描き二点は、江戸期の職人の精一杯の創意工夫を持ちます。
そして、何とか絵画をシンプルに立体的に表現しようとする創作意欲が有ります。
竹や筍、岩の随所に加えられた細い斜線で奥行き表そうと努力しているようです。
地面までも横筋で面白くしています。
もちろん友禅的ボカシの手法を知っていれば、その手もあるのでしょうが、
独自のかんたんな斜線表現で3Dを描き出せばそれが筒引きのシンプルな「いい味」でしょう。
今回は、絵画が描かれた木綿布に注目してみました。
幕末期と言えどもまだ封建制度で世の中が動いているご時世、一般庶民には藍染筒描き布団は、まだまだ「お大事な物」だったと思います。ここ一番のお客様用には、嫁が婚礼の時に持参した藍染夜着でごっゆくりとお休みいただいたことでしょう。
今、この筒描き布に触れる時、江戸木綿は、分厚い印象を持ちます。
この事は、統一基準ではありませんが何処の地方にても ほぼ同じような手触りの木綿布アイテムでした。
打ち込みの良い木綿布は、地方においてこの薄さ具合が限界でしょう。
この時代 絹物特に伸び縮みが柔らかい「縮緬布」などは、花洛の一部特権階級たちの特別なアイテムで、後年、裕福な庶民たちに払い下げられたとしても ちゃんとした状態は、まだまだ有難いアイテムで 後にかなりの絹物で継ぎ接ぎされたものでも大事に保存されたものでした。
花洛にては、薄手の木綿布の流通も盛んであったろうと思いますが、絹アイテムには及びません。
遺された木綿布薄手アイテムは、現代 ほとんど見かけることが有りません。
そこで麻ほどのごわごわ感がなく 取りあえず薄めの布としての木綿布は、その辺の手触りが上物として全国的に認識された良さだったと思われます。
とはいっても現代の基準では、「分厚い」が実感です。
そして、庄内辺りの裕福な庶民は、この手の木綿布を重ねて仕事の為のアイテムを作り出しました。
庄内地方は裕福な土地で上質の木綿布は、容易に入手できました。そして、ごわごわの庄内刺し子が誕生しました。当時に婚礼道具として作られた袖なし「出たち」着物などが 物持ちがよい土地柄の御かげで 今日、
庄内江戸期刺し子は、僅かですが遺されました。
そこには、手触り良き江戸木綿の存在が確かにありました。
ではまた